2019年09月14日

下町ロケット4 ヤタガラス

 池井戸潤作品の真骨頂とも言える、勧善懲悪の物語。
 話は前巻の「ゴースト」からの続き。今回の舞台は農業。無人の農業ロボット開発で、帝国重工&佃製作所VSダイダロス&ギアゴーストの構図。

 もう、悪役が、これでもかというくらい理念なく、ただの悪役。これが池井戸潤作品の弱点であり、人気の点。
 少しぐらいポリシーってものがあってもいい気がするのですが、どこも共感できない悪の権化のような人ばかり。THE 悪役。

 今回は、また一段と危機感のない内容で、技術的にはほとんど困らない。救世主のエンジニア登場で解決しちゃうし。
 今後はどうなんでしょうね。大きな展開があるのかな。
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2019年08月27日

幼女戦記(4)

 相変わらず、分厚い本だなあと思うところ。シリーズを通して各巻500ページ超というのは、なかなか骨の折れる本です。

 4巻は、南方戦線から首都へ帰還して、そのまま東方戦線に送られるところからスタート。
 今年の初めに上映していた映画は、ほぼこの4巻の内容をベースにしているんですね。

 東方戦線でのデグレチャフ少佐の恐ろしいまでの反共っぷりは、常軌を逸していますね。まあ、元々ですが(笑)
 合理主義者のデグレチャフ少佐としては、徹底的なまでに非合理的な共産主義が大嫌いなのだそう。最早、執念ですね。病的ですらあります。

 今回もデグレチャフ少佐の内心と、周りの受け止めがすれ違ってますね。デグレチャフは単純に後方勤務を希望したら、三者三様の受け取り方。ズレの箇所は巻を追う毎に少しずつ減っている気がしますが。

 メアリー・スーの登場、サラマンダー戦闘団の編成と、話の転換期の4巻。
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2019年08月04日

桃尻語訳 枕草子(上)

 著者の橋本治さんの訃報を聞いて、その代表作に触れてみたかった次第。

 私は高校からは理系で、まともに古文の授業を受けたのは、中学まで。特段古文に思い入れもなく、枕草子なんて冒頭の教科書に載っている部分しか知らないレベルの人間です。ということで、枕草子という古典文学の名著にもかかわらず、中身をほとんど知らず。今回、初めて「そういう本だったんだ」と知った次第。

 「桃尻語訳」というのは、要は現代の若い女性の言葉に直訳したというもの。清少納言が今風の年相応の女性として、とてもフレンドリーに語りかける感じに訳されています。これは、新しい感覚。
 ただ、「現代」とはいっても、この本が発表されたのは、既に30年以上前。もう、ある意味古語ですね(笑) 時々、意味がわからない言葉も出てきますし。

 時系列は行ったり来たりだし、内容も飛び飛びなので、時々何が何だかわからなくなるときもありますが、そこは直訳とはいえ補足がたくさん入っているので、つっかえながらではありますが、読んでいくことができます。

 元々枕草子はよく知っているよという方にはあまり用はない一冊かもしれませんが、面白い試みの一冊。
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2019年07月23日

下町ロケット3ゴースト

 「下町ロケット」シリーズの第3巻。
 今回は、トランスミッションのお話。でも、勿論難しい専門的な内容はほぼなし(笑)

 今回も、話の展開は帝国重工絡み。
 小型エンジンの大口取引先が別会社に奪われ、新規事業を立ち上げることとなった佃製作所の今回のミッションは、トランスミッションのバルブ。バルブに関しては、一日の長がある佃製作所。そこは、それほど難しくは描かれず。

 問題は、取引先の「ギアゴースト」。相手方弁護士は、このシリーズでずっと敵役の中川弁護士。
 池井戸潤作品は、悪役は徹底的に悪役にして、勧善懲悪の構図を作りますよね。今回も、ある程度予定調和。
 サラリーマンが、働くにあたって日々感じる理不尽を、見事に正論で崩していく。

 最後は次巻に繋げる作りになっていますね。完全にシリーズ化してますね。
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2019年06月11日

クララ白書I

※6/9
 娘にお薦めしようと図書館で借りたのですが、小6には少し早かったようです。

 初めて読んだときから、約20年ぶりかな。「海がきこえる」以来、氷室冴子さんにはまっていた時期があり、その頃に読んだ本。
 ジャンルとしては、今で言えばライトノベルなのかな。少女向けの小説。

 主人公は、札幌市内にある中高一貫の女子校に通う中学3年生。父親の転勤がきっかけで、学校の寄宿舎「クララ舎」に入ることになり、同じく3年生から入舎することになった菊花とマッキーの3人で、入舎の試練を受けることになる…。

 大学生のボーイフレンドが出てきたり、突っかかってくる後輩が、実は主人公に憧れていて、主人公を追いかけて入舎してきていたツンデレだったとか。高等科の先輩がちょっとワルとかね。如何にも少女向けなテイスト。
 しかし、女子校というのはこんな感じなのかな。うちの嫁さんは女子校出身なので、いつか読ませてみたいと思っております。

 体育祭が終わり、文化祭が始まるというところで1巻は終了。
 大人になった今も、面白くてサクサク読んでしまう(笑)
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2019年04月17日

幼女戦記(1)

KADOKAWA/エンターブレイン
発売日 : 2013-10-31
 先日、映画館で逃げ出したくなる経験をした、こちらの作品。やはり、題名が悪い。

 題名からは、なんだかヤバそうな小説に思えますが、内容としては最近流行の「異世界転生モノ」です。
 ただ、流行の転生先が「剣と魔法のファンタジー世界」なのに対して、こちらは魔法はあるものの、近大世界大戦前夜の世界。モデルとなっているのはドイツ帝国。ここがある意味斬新。

 主人公は、あらゆる価値観が斜に構えた感じに歪んだベテランサラリーマン。いわゆる秀才エリートで、人事課長にまではなったけれど、自分よりも凄い天才が多数存在していることを自覚している秀才。その彼がリストラした問題社員に殺されて、転生するところから、お話はスタート。
 転生の際に性格破綻した神「存在X」が出てきたり、結構強引な理由で幼女に転生したり、ちょっと設定が雑なところはありますが、まあ、そこはいいとして。

 彼が決定的に歪んでいるのは、物事の判断基準が「合理的か」という一点であること。たとえ人命であっても、この合理性の判断の対象であり、ある意味わかりやすく狂ってる人。理解はできても共感はし辛いのが、また面白いのかな。

 1巻は、転生後、協商連合との開戦から、戦果を挙げて破竹の勢いで昇進し、軍大学卒業、独立魔道大隊創設まで。
 大人の知能と軍事オタクの知識を持ったまま転生した、完全にチートな幼女の物語。
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2019年03月29日

風が強く吹いている

 きっかけは、アニメ。ちょっと見てみたら、何だか知っている地名がよく出てくるな、と。そう思ったのが読んでみたくなった理由です。
 私は、生まれてから結婚した現在までほぼ箱根駅伝のルート上に住んでおり、唯一コースを外れて生活していたのは世田谷区。この物語とは何だか縁がある。

 物語の舞台となる寛政大学や竹青荘は、千歳烏山と成城学園前、祖師ヶ谷大蔵が最寄り駅で、多摩川まで行くのに仙川と野川を越えていくという記述から、おそらくは昔、青山学院大学の世田谷キャンパスがあった辺りを想定しているのかな、と想像するのですが。20年くらい前まで、千歳台の辺りにあったんです。奇しくも青山学院大学、今は箱根駅伝の常勝チームになりましたね。この小説が執筆された頃は、出場するのも難しいレベルだったかと思いますが。

 物語は、たまたまその竹青荘に住んでいた10人が、4月にトレーニングを始めて翌年の箱根駅伝に出ようというもの。ちょっと考えなくても、完全なるファンタジーです。如何に、そのうちの2人がトップレベルの長距離ランナーであっても、経験者がいたとしても、優秀なコーチがいても、それは無理。相手は中高で実績を積んで全国から集めてきた選ばれた選手たち。そこに半年強で挑もうというのは無謀の一言で切り捨てられるレベルです。とてもしっかり取材されたのだなあと思うほど詳しく書かれていますが、幾つかの記述には違和感があり、作者はスポーツに打ち込んだ経験がないのかな、とも思います。
 なので、あくまでもこれは箱根駅伝としてはフィクション。主題は、そこを舞台として描かれる10人の人間としての変化、成長です。

 主要な登場人物は10人の選手達。その選手はそれぞれが異なるバックボーンを持ち、それぞれが違うことを考えて箱根駅伝に向かう。同じ時間と場所を共有しているのに、それぞれ違う。それが丁寧に描かれており、変化していく様が気持ちいいのです。
 その集大成が、箱根駅伝の本戦。走りながら何を思っているか、何を繋いでいるか。外から見たら、ただただ走っているだけなのですが、選手一人一人、「人」が走っているんだ、と。なかなか文字がぎっしりな小説ですが、サクサクと読み進んでいってしまうのです(笑)

 コース上に住んでいる者としては、箱根駅伝本戦のコースの記述は、なかなかわくわくしました。私の生活圏が、あちこちに出てきて、何だか妙な気分(笑)
 書かれてからもう13年経っているので、コースは若干変わっていますが、そういう意味では国道1号線沿いにお住まいの方にもオススメです。
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2019年03月16日

ソードアート・オンライン(6)

 ファントム・バレット編の後編。

 無事、BoB(バレット・オブ・バレッツ)の予選を通過して、本戦が開始。全編ほぼBoBという構成。

 犯人の死銃が誰なのか。その殺人の方法が何なのか。銃撃戦のアクションの中、それが少しずつ謎解きされていきます。ただ、やっぱりミステリー要素は弱く、アクションですよね。

 BoBの勝負がついた後、現実での危機が迫るところ、ギリギリで救出に間に合うキリトは、やっぱり物語だなと思うと同時に、こういう物語は格好良く終わらないとね、と。
 しかし、バイクで校門ど真ん中で待つとか、一度やってみたかったな(笑)

 シノンの魂が解放される第6巻。
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2019年03月04日

ソードアート・オンライン(5)

※2/6
 現在、テレビアニメ第3期が放送中なので、長く放置していたソードアート・オンラインを再び読み始めようと思った次第。

 5巻は、ファントム・バレット編の上巻。
 GGO(ガンゲイルオンライン)のユーザーが、ゲーム内で撃たれると同時に現実でも死亡する事件が発生。キリトは、総務省の菊岡から調査を依頼されて、GGOへコンバートするというお話。

 今までは剣と魔法の物語だったところ、急に硝煙と油の物語になるところが、この小説の世界観の面白いところ。
 ファントム・バレット編のヒロイン、シノンは母親を守るために人を殺してしまった過去を持つ、陰がある少女。この少女の心の葛藤がなんとも言えない物語。
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2018年09月20日

星界の戦記(6)

 なんと、6年ぶりだそうですよ。まあ、その前は9年でしたっけ?シリーズ計20年超の大作です(笑)

 読みながら、登場人物が誰かを思い出すのが大変でしたが、そもそも前巻がどういう話だったのかも覚えておりませんでした。
 そうそう、帝都ラクファカールが失陥したんでしたよね(^−^;

 この巻から始まる新章は、それから10年の月日が経過した時点から。
 皇太女ラフィールは帝国元帥に、ジントは千翔長に昇進し、それぞれ艦隊司令長官とその副官。ラフィールは、人類主権星系連合体攻略を命じられます。

 10年後の世界観の説明と戦闘がほとんどで、ジントの出番も少ない展開でしたが、これからどう展開していくのか。
 話は完結しないで終わっているので、7巻は今回ほどは待たなくてもいいかなあ、と期待しているのですが。
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